マネジメントの仕組みを確立 サービス化の要求に応える

クラウド時代の「運用の常識」(第3回)

運用組織をどうマネジメントすべきか。「クラウド」や「仮想化」が普及期を迎えつつある今、新たなシステム形態やサービス化への対応がポイントだ。QMS(品質マネジメントシステム)やITSMS(ITサービス・マネジメント・システム)などを活用することで、運用改善とともに、組織の活性化が可能になる。

開発と運用の時間軸は異なる

 二つめは、開発と運用フェーズの「時間軸」の違い。

 システムの構築・運用現場では、広くプロジェクトマネジメントを用いて日々の業務を行っている。プロジェクトマネジメントを用いることで、従来のベテラン社員の技や勘に頼った業務遂行に対して、技術の標準化が進み第三者への業務の伝達がスムーズに行えるようになる。また、組織内の標準化やガントチャートなどのマネジメント手法を用いることで、効率的かつ安定的にこうした成果が期待できる。

 しかし、多くの現場ではプロジェクトマネジメントの関心は開発フェーズにある。運用フェーズに適用した場合、プロジェクトマネジメントの弊害もある。開発と運用フェーズの時間軸の違いが原因だ。システム開発の構築期間は、一般に数カ月から3年以下程度であり、5年超の開発プロジェクトはまれである。ところが、システム運用では、10年を超えて継続的に運用し続けるということが珍しくない(図3)。

図3●プロジェクトマネジメントの問題点
開発プロジェクトの延長線上で運用に取り組んでいては、時間軸が合わない


 プロジェクトマネジメントは、運用現場でも効果を発揮することは明らかだ。しかし、マネジメントしなければならない対象業務の時間軸を考えた場合、開発と運用では、短距離ランナーと長距離ランナーの違いがある。ランナーのシューズや練習方法が異なるように、システムのプロジェクトマネジメント手法も開発と運用それぞれが整備されていってよいはずだ。ところが、高度情報処理試験の対象とする技術者を見ても分かるとおり、開発者を主に想定して仕組みが整備されているケースがほとんどである。

利用者はサービス化を求める

 三つめはサービス化への対応である。ここ数年で筆者が感じた最も大きな変化は、利用者の要求である。まず開発現場の声から、情報システムの提供形態について変化が起きていることが分かる。

 従来は、利用者の求める情報システムを開発することがゴールだった。そこでは、情報システムを所有することが前提になっている。ところが、昨今のサービス化を求めるニーズは、情報システムを「所有」することではなく、「利用」して企業活動に貢献し価値を生み出すことに主眼を置く。

 クラウドに注目が集まる理由の一つが、このような情報システムの利用形態のパラダイムシフトを理由としている。であれば、開発現場を直撃している変化の波が、運用現場に押し寄せてくるのも時間の問題である。サービス化を求める声は止められない。

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
運用マネジメント部 主任システムエンジニア

五十嵐 智生
2008年より野村総合研究所データセンター部門の組織改革プロジェクトに携わり、
ITSMSによる制度設計などを推進。専門はマネジメントシステムの設計、
構築、維持管理、運用コンサルテーション。NRI認定ITシステムマネージャー。
(著者プロフィールは執筆時のものです)

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株式会社 野村総合研究所
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