バックアップオフィスの整備手順と今夏に有効活用するための3つの直前チェックポイント

BCP総点検の勘所 第1回

災害時の業務継続対策としてデータセンタの二重化については一般的に知られているが、オフィスについても二重化をとる動きが金融機関を中心に進められている。 特に今夏の電力不足対策としては、本店機能を構える首都圏での節電対策に加え、首都圏での停電発生等の有事に備えてバックアップオフィスの本格整備及び対応手順の見直し等の準備作業に追われている。 本稿では案外知られていないバックアップオフィスの整備手順を紹介する。

4.今夏にバックアップオフィスを有効利用するための3つの直前チェックポイント

今夏は各社に節電の目標が設けられ、就業時間や場所など通常と異なる業務形態を強いられるケースも多いだろう。本格的な夏まで残り少ない期間ではあるが、これまでの検討結果を踏まえ今夏にバックアップオフィスを有効利用するための3つの直前チェックポイントを以下に示す。

<バックアップオフィスを有効活用するための3つの直前チェックポイント >

◆初期対応マニュアルの見直し:
・連絡体制の整備
・連絡手段の整備
◆停電時の対応策:
・各オフィス停電時の影響範囲の確認
・業務システム非稼動時の対応方針
◆業務委託先の対応状況調査:
・業務委託先のBCPが自社のBCPと整合性がとれているかの確認
・業務委託先のバックアップオフィス連絡先の確認

1点目の初期対応マニュアルの整備だが、まず連絡体制の見直しをする必要があるだろう。特に現在の災害対策に関する体制は、対策本部と優先継続業務に関連するメンバーに限定されるケースが多く見られるため、全社(全国に拠点がある場合は、全国の拠点を対象とする)を対象とした体制を定義し、災害対策本部との間の情報の流れが確保できるようするとよい。なお、派遣社員の所属会社や業務委託先等との連携も確保する必要がある。

また、連絡手段についてもSkypeやSNSを使いこなしているという方は案外多くないのではなかろうか。これらツールも予め何回か利用することをお勧めする。

2点目の停電時の対策だが、多くの企業では停電時の影響範囲の調査は済んでいるかと思われる。システム環境の停止及び、それに伴うバックアップシステムへの切替手順の検証もされているケースが多くみられる。あとはシステム停止時に優先継続業務を実施する手順(システムを利用せずに手作業で実施する手順)を予め検討しておくとよい。

3点目の業務委託先の対応状況調査は、まず自社のBCPと業務委託先のBCPが整合性がとれているか確認する必要がある。(参考図表4 業務委託先に対する主な確認項目)自社では優先継続業務と位置づけている業務についても業務委託先では優先業務の位置づけとされていないケースや、また優先業務と位置づけられていても被災時のバックアップを有しておらず実効性に懸念が持たれるケースはよくみられる。この場合は、業務委託先への改善要望を出すことも対策の一つだが、理想的には有事に備え複数の業務委託先を検討しておくことが望ましい。なお、業務委託先がバックアップ環境を有している場合は、バックアップ環境の連絡先を確認しておく必要がある。

図4: 業務委託先に対する主な確認項目


以上がバックアップオフィスの整備手順と今回に向けた直前のチェックポイントとなる。なお、BCPの実効性向上のためには、これら以外にBCPマニュアル整備と訓練実施を含めたPDCAサイクルの維持が欠かせない。今後のBCPのISO化についても視野に入れ、各社でのBCPのフレームワークの確立が求められているのである。

(初出:日経コンピュータ 2011年7月7日号)

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
運用事業推進室 上級システムエンジニア

大須賀 健
主に金融機関を対象とした事業継続計画の策定および
バックアップオフィス/データセンターの設計・構築・運用を担当
(著者プロフィールは執筆時のものです)

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