バックアップオフィスの整備手順と今夏に有効活用するための3つの直前チェックポイント

BCP総点検の勘所 第1回

災害時の業務継続対策としてデータセンタの二重化については一般的に知られているが、オフィスについても二重化をとる動きが金融機関を中心に進められている。 特に今夏の電力不足対策としては、本店機能を構える首都圏での節電対策に加え、首都圏での停電発生等の有事に備えてバックアップオフィスの本格整備及び対応手順の見直し等の準備作業に追われている。 本稿では案外知られていないバックアップオフィスの整備手順を紹介する。

3.バックアップオフィスの整備と同時にコミュニケーションツールの整備も重要

これら手順を踏まえて整備したバックアップオフィス環境も、いざ利用する段階となると躊躇することも多い。オフィスビルの停電、PBXの障害等、想定災害とは異なるトラブルが発生した際にBCPを発動すべきかの判断についても非常に難しい。

また、この3月の震災の際も14日(月)に都心のオフィスへの出社は困難であったにもかかわらず、バックアップオフィスへの出社を判断した企業はごく稀にしかなかった。

せっかく準備した環境も効果的に活用できるかは初期対応にて迅速に情報収集、判断、社員への周知が行えるかが鍵となる。 そのような初期対応にて重要な役目を果たすのはコミュニケーションツールである。しかし被災時にどのコミュニケーションツールが最も有用かを予測するのは、どのような災害が発生するかを正確に予測するのと同じくらい困難であるため、重要となるのは複数の連絡手段を予め確保することだと言える。

例えば、携帯メールを利用した安否確認システムを事前に導入していた企業は多かったが、多大なアクセスが集中したせいか、想定どおりの機能を果たすことができなかったケースも少なからずみられた。ただし、安否確認システムは従来の安否確認としての利用方法以外に、アンケートツールとして複数の外部委託先等へ状況確認のメールを一斉送信する利用事例もみられる。このように既存のツールの利用方法の多様化は今後も進んでいくだろう。

なお、今回に関してはPHSやSkypeが比較的利用できたようだが、今後も引き続き確実なコミュニケーションツールとして機能するとは限らない。やはりレガシーの固定電話からSNS(Twitter、Facebook等)まで複数の連絡手段を確保し、臨機応変に活用できるよう日頃から利用することが求められているのではなかろうか。

また、通信規制の影響を低減させるために自社で電話会議システムを設置する動きもみられる。一般的に通信が集中するパターンの通話に対して通信規制がかけられるため、通信が集中しずらい遠隔地へ電話会議システムの制御装置を設置すれば、通話先の集中を避けることができる。これにより通信規制の影響を受けづらくなることが期待できる。なお、この通信規制の仕組みは固定電話に関するものであり、携帯電話には適用されないため注意が必要だ。

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
運用事業推進室 上級システムエンジニア

大須賀 健
主に金融機関を対象とした事業継続計画の策定および
バックアップオフィス/データセンターの設計・構築・運用を担当
(著者プロフィールは執筆時のものです)

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