バックアップオフィスの整備手順と今夏に有効活用するための3つの直前チェックポイント

BCP総点検の勘所 第1回

災害時の業務継続対策としてデータセンタの二重化については一般的に知られているが、オフィスについても二重化をとる動きが金融機関を中心に進められている。 特に今夏の電力不足対策としては、本店機能を構える首都圏での節電対策に加え、首都圏での停電発生等の有事に備えてバックアップオフィスの本格整備及び対応手順の見直し等の準備作業に追われている。 本稿では案外知られていないバックアップオフィスの整備手順を紹介する。

2.バックアップオフィス選定時の主な検討ポイント

前項にてバックアップオフィスに必要な座席数と業務内容が定められたため、後はそれに見合うオフィスを選定することになる。立地及びビルの選定には災害対策の観点からいくつかの検討ポイントがある。以下にバックアップオフィス選定時の主な検討ポイントを示す。

<バックアップオフィス選定時の主な検討ポイント >

◆地盤・周辺環境:
・液状化リスクが低いこと
・津波や河川の氾濫を受けない立地であること
・近隣にレストラン、宿泊施設等の環境があること
◆社会インフラ:
・停電、通信障害等のリスクが低いこと
・鉄道、道路等のアクセス環境が良好であること
◆ビル仕様:
・耐震構造であること
・十分な電力供給を受けることができること(また、テナント向け発電機、UPSが提供可能か)
・ビルの入退室は24時間可能かつ、申請等が容易であること

いずれも通常のオフィス構築時にも必要な検討ポイントだが、バックアップオフィスは災害対策の目的として構築されるため、通常以上にこれらの検討ポイントを遵守する必要がある。

まず1点目の地盤環境だが、液状化や水害のリスクを低減させる目的で、通常のオフィスでは比較的人気のあるベイエリアもバックアップオフィスの立地としては避ける傾向にある。各自治体が発行する液状化マップや河川の氾濫想定等を確認し、これらの影響を受けにくい場所を選定することが重要だろう。また、バックアップオフィスとはいえ、災害時には長期に渡り利用することも想定されるためレストラン等の周辺環境も一定の水準が確保されている必要がある。

続いて2点目の社会インフラだが、首都圏から30km程度離れた立地で最も注意すべきは停電・通信障害リスクだろう。電気や通信が電柱を経由してビルに供給される環境にあれば、地震による電柱倒壊や、火災による延焼などトラブルが発生する可能性が十分に考えられる。これらの供給経路は変電所及び交換局から全て地下経路にて引き込まれていることが望ましいが、公開資料のみで判断するのは困難であるため、インフラ事業者へ直接確認してみるのもよいだろう。鉄道についても可能であれば2駅以上使える立地であることが好ましい。

3点目のビル仕様は、耐震構造であることは当然であるが、電力が必要なだけ供給できるかが重要なポイントである。近年のサーバ機器の高密度化に伴い、各テナントでは当初のビル設計時より多くの電力を要求するケースも多いだろう。この場合、電気容量に加え、空調容量の制限により必要な電力が確保できないこともあるため、事前に利用可能な電気容量を確認することが重要である。また、通信環境についても電気と同様に当初のビル設計時より多くの通信線が引き込まれているケースも考えられ、ビル内の管路に十分な空きがない場合も考えられるため事前に十分確認する必要がある。 これらの確認は専門的な内容も多く含まれるため、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながらビルを選定することも有効だろう。

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
運用事業推進室 上級システムエンジニア

大須賀 健
主に金融機関を対象とした事業継続計画の策定および
バックアップオフィス/データセンターの設計・構築・運用を担当
(著者プロフィールは執筆時のものです)

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