バックアップオフィスの整備手順と今夏に有効活用するための3つの直前チェックポイント

BCP総点検の勘所 第1回

災害時の業務継続対策としてデータセンタの二重化については一般的に知られているが、オフィスについても二重化をとる動きが金融機関を中心に進められている。 特に今夏の電力不足対策としては、本店機能を構える首都圏での節電対策に加え、首都圏での停電発生等の有事に備えてバックアップオフィスの本格整備及び対応手順の見直し等の準備作業に追われている。 本稿では案外知られていないバックアップオフィスの整備手順を紹介する。

1.バックアップオフィスとはどのようなものか

そもそもバックアップオフィスとは、どのようなオフィスで、どのような検討手順で構築されるものか思い浮かばない方も多いのではないのだろうか。
バックアップオフィスは、自社の事業継続計画(BCP)の遂行のために構築されるものであり、オフィスの立地や業務環境はBCPにて規定される以下の事項と整合性がとれている必要がある。

<事業継続計画(BCP)にて定義されるべき前提事項>

・被災シナリオ:首都直下地震(震度6強)等が発生した際に自社が受ける被害の想定
・優先継続業務:災害時にも継続すべき自社の重要業務

被災シナリオは、首都圏の企業においては主に首都直下地震(震度6強)の発生を想定し、自社のオフィス環境、システム環境及び外部委託先等にどのような影響が及ぶか検討するものだ。(参考図表1 被災シナリオの調査範囲)

図1:被災シナリオ策定のための調査範囲


中央防災会議や自治体が発行する被災想定の資料等に基づき客観的に分析することが重要だ。また、想定被災の発生時に自社が被災してから、おおよそ通常業務に戻るまでに必要な期間も想定する必要がある。この通常業務に戻るまでに期間は、例えば1週間や1ヶ月程度に設定されるケースが多い。逆にこの期間は何ヶ月間もの長期間に渡ると想定された場合は、業務/システム環境整備や移転等の対策を検討すべきだろう。

優先継続業務は、上記のように想定される被災期間にて最低限継続すべき業務の選定をするものだ。社外へ与える影響等を考慮の上、優先度別に5段階程度に分類するのがよいだろう。そして優先度毎に業務停止の許容期間を予め定めておく必要がある。例えば、投信会社では基準価額の算出は第一優先として当日中の復旧を目標とするが、約定処理やトレーディングは第二優先として3日以内の復旧を目標にする等の分類が考えられる。

これら前提事項に基づき、バックアップオフィスは構築されるものである。(参考図表2 BCP整備プロジェクトのフレームワーク例)

図2: BCP整備プロジェクトのフレームワーク例


バックアップに設置する座席数は、被災シナリオで想定した被災期間内に継続すべき業務にて必要な数を確保することになる。立地については首都直下地震に代表される広域被災を想定しているため、30km程度離れたエリアを選定するのが一般的だ。オフィスの広さは優先継続業務の範囲によって異なる。業態によっては社員の半分以上の座席を確保している例もあるが、社員数の2~3割程度の座席数を確保している例が多くみられる。(参考図表3 小規模バックアップオフィスの例)

図3:小規模バックアップオフィスの例


なおバックアップオフィスは、自社の支店や研修施設等を利用する場合もあれば、バックアップオフィスのみの目的にて新たに場所を確保することもある。いずれの形態でも重用なのは、いつでも利用できるようにシステム環境(アプリケーションのバージョン最新化等)及び業務環境(帳票、備品等の事前準備)が整備されていることだ。

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
運用事業推進室 上級システムエンジニア

大須賀 健
主に金融機関を対象とした事業継続計画の策定および
バックアップオフィス/データセンターの設計・構築・運用を担当
(著者プロフィールは執筆時のものです)

お問い合わせ

株式会社 野村総合研究所
クラウドサービス本部
TEL:03-6706-0331
E-mail:sysm-info@nri.co.jp

ページのトップへ