構成管理がより難しくなる 情報の量と鮮度を制御

クラウド時代の「運用の常識」(第8回)

仮想化技術を導入することで、構成管理の重要性は上がる。システムの柔軟性が高くなる半面、構成情報の量が増えると同時に、その鮮度を保つことが難しくなるからだ。解決策の鍵は、構成管理ツールの活用と、プライベートクラウド構築に伴う標準化にある。

 ITインフラを構成する様々な要素を管理するのが「構成管理」である。今回は、仮想化環境やプライベートクラウドにおける構成管理を解説する。

 ビジネスとITの関係は、近年さらに密接になり、ITは社会インフラそのものになりつつある。ITの運用が社会的に重要視されるようになり、IT運用におけるベストプラクティス集であるITIL(ITインフラストラクチャーライブラリー)の活用に注目が集まってきた。

 このITILにおいて情報を一元管理するITサービス管理プロセスが構成管理だ。構成管理は、他のITサービス管理プロセス(インシデント管理、変更管理、リリース管理など)に対して、正確な構成情報を提供する役割を担う。

 この構成管理を効率的に実施するためのツールとして、ITILでも推奨されているのがCMDB(構成管理データベース)である。ITILで定義されているCMDBでは、システムを構成しているハードウエアやソフトウエアの情報のみならず、それらの依存関係や、障害情報とその解決策などを一元的に管理する。

 ここで言う依存関係の情報は、ITインフラを構成している要素(CI:構成アイテム)間における関係性を構成情報として持たせたものだ。こうした情報をCMDBに格納することで、ITインフラの論理構成モデルを生成し、変更作業における影響範囲の把握などが可能となる。

仮想化で情報量が増える

 仮想化技術の採用により、ITインフラの構成管理はどのように変わるのか見ていこう。

 従来、新しいシステムを構築するたびにITインフラも新たに構築されてきた。システムの増加に伴い、ITインフラの複雑性が増してきた。この複雑性は、今後のビジネス変化に追随できる迅速で柔軟なITインフラを提供することを阻む。

 こうした課題を解決する手段として仮想化技術が普及してきた。仮想化技術は、ITインフラの複雑性を上位レイヤーに伝えることなく、物理的なシステムリソースの「共有」と「動的な配分」を可能にする。ITインフラを仮想化することにより、システムリソースの有効活用や、迅速な構成変更が図れるようになる。

 その半面、仮想化技術は、構成管理における構成情報の「量」と「鮮度」に影響を与える。

 まずは量だ。仮想化により、従来の物理リソースに加えて、論理リソースを管理対象とする必要が生じる。これにより、構成情報の量が増える。

 次に情報の鮮度である。仮想化技術の導入で、システムは迅速かつ柔軟な構成変更を行えるようになる。その結果、従来の変化の乏しい静的な構成情報の管理から、動的に変化する構成情報の管理へと変わる。

野村総合研究所 情報技術本部 先端技術開発部
グループマネージャー/上級テクニカルエンジニア

吉田 浩/杉田 豊
ITの調査・研究と、調査・研究したITの業務適用を行うテクニカルエンジニア。
専門は、運用技術およびストレージ技術、サーバー仮想化技術(吉田)
専門は、サーバー仮想化技術、Webアプリケーションフレームワーク技術(杉田)
(著者プロフィールは執筆時のものです)

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