担い手、ツール、コストが変化 システム基盤の維持管理

クラウド時代の「運用の常識」(第7回)

システム基盤を安定稼働させるには、アプリケーションやユーザーニーズにシステム基盤を適合させる「維持管理」が欠かせない。統合化と外部サービス利用というクラウド化が進むことで、維持管理の常識が変わってきた。維持管理の担い手、ツール、コストがどう変化するかを把握しよう。

維持管理のためのチーム作り

 クラウド以降は、個別システム単位から企業システム全体へ、事後対応から継続的・計画的対応へと、維持管理の重心が移っていく。これに対応するために、維持管理の担い手、ツール、コストの変化を押さえよう。

 まず、維持管理の担い手についてだ。クラウド以前は、社内を見わたすと、ほぼ切れ目なく何らかのシステム構築プロジェクトが進行中だった。そのため、基盤技術者による対応が必要なインシデントが発生した場合などは、プロジェクトの担当者を振り向けることができた。

 クラウド以後は、維持管理について継続的で適切なスキルを持った担い手を確保していかなければならない。継続的であるためには、維持管理を行うチームを作り、組織として活動していく必要があるだろう。また、個人的なスキルや、システム構築時に得た属人的なノウハウに依存するのではなく、チームとして機能できるようにスキル向上やノウハウ共有化を図らなければならない(表)

表●クラウド導入後の維持管理に関する考慮点



 チームをスリム化しつつ、企業内のシステムを横断的に維持管理するには、一次対応チームと二次対応チームのように、チームを階層構造にすることも解決策となる。一次対応チームは、定型的だが広範な対応を行い、専門的なノウハウを持つ二次対応チームは、一次対応チームからのエスカレーションを受けて行動するのである。

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
サービスサポート事業部 部長

平鹿 一久
データセンターの統合プロジェクトや、マネージドサービスの開発などに携わる。
システム基盤にかかわるプロジェクトマネージメント、運用サービスの企画・設計が専門。
ITコーディネータ、PMP資格を保有。
(著者プロフィールは執筆時のものです)

お問い合わせ

株式会社 野村総合研究所
マルチクラウドインテグレーション事業本部
E-mail:sysm-info@nri.co.jp

ページのトップへ