担い手、ツール、コストが変化 システム基盤の維持管理

クラウド時代の「運用の常識」(第7回)

システム基盤を安定稼働させるには、アプリケーションやユーザーニーズにシステム基盤を適合させる「維持管理」が欠かせない。統合化と外部サービス利用というクラウド化が進むことで、維持管理の常識が変わってきた。維持管理の担い手、ツール、コストがどう変化するかを把握しよう。

維持管理への要求も変化

 システム基盤のあり方が変化してくると、その維持管理への要求も変わってくる。

 システム基盤の維持管理とは、(1)障害などのインシデントに対応する、(2)インシデントに円滑に対応できるよう準備・整備を行う、(3)システム基盤の劣化に対応する、といった活動から成り立っている。(2)には、システム構成情報や復旧手順の整備が、(3)には、ハードウエアの老朽化に対応するための機器交換、OSやミドルウエアへのパッチ適用、処理量の増大に対応するためのサーバーやストレージの容量追加などが含まれる。

 クラウド以前は、個々のシステム基盤が管理単位であり、(1)や(2)の比重が高かった。(3)の劣化対応についても、障害を未然に防ぐことが主な目的だった。しかし、クラウド以後は、企業のシステム基盤全体を継続的に管理する必要性から、(3)の比重が高まってくる。維持管理の目的も、システム基盤のあるべき姿を基準として現状との差を埋めることに移っていく。

 外部のシステム基盤を利用する場合も、システム基盤への要求と現実のサービス状況を分析することが欠かせない。サービスプロバイダーに対して双方の差異の解消を求めたり、場合によってはサービスの変更を検討したりすることも必要になる。

 可用性や性能などシステム基盤のあるべき姿は、アプリケーションや企業のニーズに応じて変化するものだ。そのため、その変化を的確に把握することも維持管理として重要になってくる。また(2)についても、インシデントの影響範囲が広がることから、整備する対象の拡大や内容の充実が必要になるだろう。

 実際、クラウド以降の維持管理作業とはどういったものか。システム基盤統合の例で見てみよう。まず構成管理について、従来は機器の物理的な構成や機器ごとの導入ソフトウエアの状況を把握することが中心だった。ところが、統合化されたシステム基盤では、これに加えて論理的な構成を把握しなければならない。サーバーでは割り当てメモリー量やCPUコア数なども管理対象となり、キャパシティー管理と合わせた総合的な管理に移行していくことになる。

 キャパシティー管理は、従来、メモリー使用量やディスク使用率など管理対象ごとに個別のモニタリング項目を設け、閾値超えの監視を行っていた。統合化されたシステム基盤は、システム基盤全体の余裕度の把握と確保が重要になる。例えば、障害対応時にもキャパシティーの余裕が必要になることがある。障害対応に必要なリソースを、リソースプールから引き当てるからだ。このため、単純な閾値ではなく、ヒストリカルな傾向分析や構成要素間の相関分析が必要になる。

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
サービスサポート事業部 部長

平鹿 一久
データセンターの統合プロジェクトや、マネージドサービスの開発などに携わる。
システム基盤にかかわるプロジェクトマネージメント、運用サービスの企画・設計が専門。
ITコーディネータ、PMP資格を保有。
(著者プロフィールは執筆時のものです)

お問い合わせ

株式会社 野村総合研究所
クラウドサービス本部
TEL:03-6706-0331
E-mail:sysm-info@nri.co.jp

ページのトップへ