担い手、ツール、コストが変化 システム基盤の維持管理

クラウド時代の「運用の常識」(第7回)

システム基盤を安定稼働させるには、アプリケーションやユーザーニーズにシステム基盤を適合させる「維持管理」が欠かせない。統合化と外部サービス利用というクラウド化が進むことで、維持管理の常識が変わってきた。維持管理の担い手、ツール、コストがどう変化するかを把握しよう。

 企業の情報システムは、サーバーやストレージ、ネットワークといったハードウエアや各種管理ソフトを土台として作られている。この土台すなわちシステム基盤を、安定して稼働させるには、障害が発生した際に復旧作業を行うほか、システム構成情報の管理、各種キャパシティー管理など様々な準備が必要である。

 野村総合研究所では、これらシステム構築後の運用フェーズでの対応を「システム基盤維持管理」と呼んでいる。いわゆる保守は、現在のシステム状態を保つことに主眼を置いている。それに対して維持管理は、システム基盤をアプリケーションやユーザーニーズに適合させることに注力するという違いがある。

 昨今、仮想化技術やクラウドサービスの利用が急速に進んでいる。これらの導入に注目し、時間軸をクラウド以前とクラウド以後に分けたとき、システム基盤の維持管理はどう変わるだろうか。今回は、こうした観点で、システム基盤の維持管理を見ていこう。

システム基盤は使い分けが現実解

 クラウド以後のシステム基盤は、統合化と外部サービス利用という二つの方向に進んでいる。サーバーやストレージなどハードウエア性能の劇的かつ継続的な向上と、仮想化技術の成熟によって、システム基盤を統合することが一般的になった。併せて、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)といったクラウド上のシステム基盤の利用も増えつつある。

 では、すべての情報システムを一つの統合基盤やクラウドサービス上に集約することは現実的だろうか。答えはノーだ。可用性や性能、拡張性など、システム基盤に求められる要件(非機能要求)は、システムによって異なる。すべての要件を同時に満たす基盤を作ることはコスト面からも難しい。標準化したいくつかの基盤を用意し、システムの特性によって使い分けることが現実解ではないだろうか。実際、データベースをオンプレミスとして自社内に保有しながら、それを使ったサービスをクラウド上に構築するといった事例も登場している。一般に、こうした複数の基盤を組み合わせる構成は、ハイブリッド型と呼ばれる。

 クラウド以前は、アプリケーションとそのシステム基盤はほぼ一対一に対応していた。情報システムの単位がハードウエアの物理的な境界であり、アーキテクチャーや採用技術にも区切りを付けることができた。しかし、クラウド以後は、境界の見えにくい複合的な構成に変わっていくと考えられる。新たに構築する情報システムは、外部サービスを含めた複数のシステム基盤から要件に応じて選択し、場合によっては複数の基盤にまたがって構築されるのだ。一方で、レガシーシステムは固有のシステム基盤を使い続けるだろう。システム基盤の維持管理は、このような複合的な構成に対応していかなければならない(図1)

図1●クラウドを活用したシステム基盤のイメージ

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
サービスサポート事業部 部長

平鹿 一久
データセンターの統合プロジェクトや、マネージドサービスの開発などに携わる。
システム基盤にかかわるプロジェクトマネージメント、運用サービスの企画・設計が専門。
ITコーディネータ、PMP資格を保有。
(著者プロフィールは執筆時のものです)

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