共用のシステム基盤で効率化 自動プロビジョニングを進める

クラウド時代の「運用の常識」(第6回)

システム基盤には今、ビジネス変化への迅速な対応や、コスト削減が求められている。要求に応えるには、共用のシステム基盤を作る必要がある。標準化や仮想化、自動化を推し進めたシステム基盤とはどういったものか。構築事例を基に、コンピューティングリソースをうまく運用管理するコツを解説する。

セルフサービスのメリット

 共用システム基盤を効率良く提供するには、プロビジョニング自動化と共に、利用者によるセルフサービス範囲を拡充することが大きなポイントだ。セルフサービスを拡充することにより、システム基盤の利用者の利便性が向上するだけでなく、提供者の運用管理コストを削減することができる。利用者のセルフサービス範囲が拡大する分だけ、提供者が行うべき運用範囲が縮小されていくといえる。

 共用システム基盤では、運用管理ツールとサーバーおよびストレージ管理ツールを連携させることによって、OSの起動やリモートアクセス、システムバックアップを利用者自身が実施できるようにした。こうしたセルフサービス機能を提供することで、運用の効率化とコスト削減を実現させた。

 当初の狙いどおり、利用者自身でOS起動やシステムバックアップといった業務を行うことが可能になり、利用者の使い勝手が上がった。

 標準化、仮想化、自動化を進めることで、システム基盤をどのように改善できるか説明してきた。それまでの物理サーバーが中心のシステムの運用管理と異なり、仮想化環境の追加でシステムの運用管理はより複雑になってきている。ビジネス環境の変化がますます激しくなるなか、さらなる標準化や自動化を目指していくべきである。

(初出 日経コンピュータ 2011年03月03日号)

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
運用マネジメント部 上級テクニカルエンジニア

村上 知弘
入社後すぐにデータセンターのハウジングサービス提供、仮想化基盤の規格・設計・構築に携わる。
現在は、運用業務をシステム化し、品質の向上や、効率化など、運用の高度化に取り組んでいる。
(著者プロフィールは執筆時のものです)

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