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共用のシステム基盤で効率化 自動プロビジョニングを進める
クラウド時代の「運用の常識」(第6回)
システム基盤には今、ビジネス変化への迅速な対応や、コスト削減が求められている。要求に応えるには、共用のシステム基盤を作る必要がある。標準化や仮想化、自動化を推し進めたシステム基盤とはどういったものか。構築事例を基に、コンピューティングリソースをうまく運用管理するコツを解説する。
ラックや機器を標準化する
標準化について実施した施策は二つある。一つは「機器の標準化」、もう一つは「提供する仮想化基盤メニューの標準化」である。
目標に掲げた「人手のかからないシステム基盤」という観点から、データセンター内での機器の設置作業および運用管理作業において、いかに作業量を削減できるかを考えた。データセンター内で機器を設置するには、電源容量や空調の確保、サーバーラックスペ ースの確保、電源ケーブルの配線、ネットワークケーブルの配線、ストレージケーブルの配線など様々な物理的作業が必要になる(図1)。

このような作業の手間を軽減するには、システムごとに異なるサーバーラックやサーバー機器を並べることをやめ、ラックと機器を標準化することが先決だ。種類の異なるラックや機器が混在する環境では、電源容量や空調、電源ケーブルなども異なる可能性が高い。その結果、運用管理作業の複雑さが増してしまう。
一般に、データセンター内で機器に物理的にかかわる作業は軽視されがちである。しかし、こうした作業は自動化が難しく、また大きなトラブルにつながりかねない作業である。機器が標準化されていれば、配線や電源容量、空調、サーバーといったデータセンタ ーの構成管理が容易になり、作業工数が減らせるだろう。さらに、手順を最少化することで、作業ミスの削減も期待できる。
野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
運用マネジメント部 上級テクニカルエンジニア
村上 知弘
入社後すぐにデータセンターのハウジングサービス提供、仮想化基盤の規格・設計・構築に携わる。
現在は、運用業務をシステム化し、品質の向上や、効率化など、運用の高度化に取り組んでいる。
(著者プロフィールは執筆時のものです)