ミスを防ぐ組織体制を作る 自動化、標準化、可視化が鍵

クラウド時代の「運用の常識」(第5回)

クラウドや仮想化がシステムの共用を促進。それに伴い、システム運用がより複雑になってきた。こうした状況で人為的なミスを減らすには、運用の自動化や標準化を推し進めることが得策だ。サーバーやジョブの数といった基礎数値に加え、運用プロセスまで可視化することで、運用改善の糸口がつかめる。

 クラウドの考え方を取り入れたインフラ基盤の革新や、ITSMS(ITサービス・マネジメント・システム)といった運用をマネジメントするフレームワークの導入に伴い、運用を担う現場に変化が求められている。今、運用部門が取り組むべき課題は、運用業務プロセスの自動化、標準化、可視化の三つである(図1)

図1●運用部門が取り組むべき課題

目的は運用品質の向上

 クラウドを支える基盤技術が仮想化である。その進歩により、ハードウエアリソースや、ソフトウエアライセンスについては、複数のシステム間で共用することが容易になった。

 ただし、共用化されたインフラ上で動くシステムはそれぞれ個別であり、個々のシステムについて監視や保守を行う体制が必要だ。こうした運用にかかわる人的コストは、基盤技術が進歩したからといって減るものではない。

 野村総合研究所では過去数年にわたり、運用の自動化、標準化、可視化を進めてきた。その目的は、コスト削減というよりは、品質の向上や維持にあった。以下では、その事例を踏まえながら、システムの運用部門が取り組むべき課題を説明していく。

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
運用マネジメント部 主任

北山 誠
大規模システムの運用業務プロセス設計、運用受け入れを主に担当。
ここ数年は運用可視化活動の推進に当たる。ITIL V2 Manager資格を持つ。
(著者プロフィールは執筆時のものです)

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株式会社 野村総合研究所
マルチクラウドインテグレーション事業本部
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