クラウドでIT部門に主導権 メインフレームの経験を生かす

クラウド時代の「運用の常識」(第4回)

プライベートクラウドの構築に当たっては、マルチテナントやチャージバックといった、様々な課題が突きつけられる。メインフレームで培ってきた「運用ノウハウ」を適用することで、これらの課題が解決可能だ。ノウハウをどう生かせばよいのか。そのコツを解説する。

プライベートクラウドの懸念

 プライベートクラウド導入における懸念事項は以下の三つが考えられる。

(1)IT部門のミッション、役割が変化

 従来のオープン化、分散化されたシステムでは、事業部門側にIT予算計画の主導権があった。IT部門はその計画に基づいて、調達・運用を行うことが一般的だろう。ところが、ITリソースをプール化して運用するプライベートクラウドでは、IT部門がITリソースを一元的に管理することになる。事業部門が検討する事業計画に基づき、企業全体のIT予算を策定するように立場が変わるのだ。

 また、事業部門に対して提供するITリソースはサービス化されるので、サービス提供者としての役割も出てくる。これらの役割を担うには、事業部門側のニーズをとらえる高度なコミュニケーション能力が要求されることになる。コミュニケーションがうまくないと、適切なIT予算の策定・執行ができず、必要なときにITリソースが足りない、あるいは無駄なITリソースに投資している、といった問題が発生してしまう。

(2)ITコストがブラックボックス化

 これまでは事業部門ごとにITリソースを管理していたため、事業ごとのITコストを容易に把握できた。プライベートクラウドの導入により、企業全体のITコストは見通せるようになる。その半面、チャージバックの仕組みをきちんと整理しておかないと、事業ごとのITコストが不透明になってしまう。その結果、各事業の競争力が低下しかねない。

(3)ベンダー囲い込みによるコスト高

 垂直統合方式の製品を利用してプライベートクラウドを構築することで、「ベンダーに囲い込まれてしまうのではな いか」といった声も聞かれる。ベンダーの囲い込みによるコストの高止まりを懸念しているからだろう。囲い込み事態は悪いことではないが、コスト高止まりなどの懸念が現実にならないように、IT部門の意識改革を行う必要がある。自社の事業に対して、プライベートクラウドをどう利用するかを意識してベンダーをコントロールすることが求められる。

野村総合研究所 システムマネジメント事業本部
サービスサポート事業部 主任

溝口 幸喜
2000年に野村総合研究所に入社し、
一貫してメインフレーム系システムの運用基盤設計、維持管理に従事。
CPU移行やOSバージョンアップなどのプロジェクトマネージャを担当。
専門は、メインフレーム基盤・ストレージ基盤の設計、維持管理。
(著者プロフィールは執筆時のものです)

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